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【十三日目】読書感想 G.リッツァ『マクドナルド化した社会』

こんにちは。

今回は、G.リッツァ著、正岡寛司訳マクドナルド化した社会』の読書感想です。

ちなみにこの本、原題は The McDonalization Of Societyで「社会のマクドナルド化」くらいの意味なんですが、この著者の他の邦訳本はマクドナルド化する社会』『マクドナルド化のテーマ』『マクドナルド化:読本』などなど「マクドナルド化」という語のオンパレードで少々ややこしい。

 

さて、この本の内容は、現代の資本主義社会において猫も杓子も「合理化」していく社会の変容を、「マクドナルド」というグローバル企業を通じて批判する、というものです。極端な合理化=マクドナルド化、ということですね。

ちなみに著者リッツァは社会学マックス・ウェーバーの理論を援用して資本主義社会や行き過ぎた合理主義を批判します。ウェーバーは読んだことがないので詳しくは知らないのですが、この本にたびたび登場するキーワード「脱人間化」はウェーバーの「脱魔術化」から着想を得ているのかもしれません。

 

リッツァによれば、マクドナルド化には次の4つの特徴がある、といいます。

 

・効率性

・計算可能性

・予測可能性

・人間に頼らない技術体系

 

マクドナルドの接客、あるいは経営について想像してみてください。限られたメニュー、素早く提供される商品、長居できない店舗やドライブスルーなどきわめて「効率化」を重視した飲食店であることがわかると思います。

また、マクドナルドで提供される商品はすべて厳密に規格化されています。ハンバーガーのレシピからポテトの量は当然、提供されるサービスもマニュアルをもとに均質化され、あらゆる行為が「計算可能性」なものとして計量化されているからこそ、あれだけ利益を出し続けチェーン展開できるわけです。

さらに、マクドナルドはいつでもどこでも同じ商品とサービスを提供します。シカゴでもロサンゼルスでも、パリでも北京でも東京でも、出てくるのはハンバーガーやポテトやソフトドリンクです。従業員のふるまいもマニュアルによって管理されています。これが「予測可能性」ですね。

最後に、「人間に頼らない技術体系」ですが、これはマクドナルドで働く従業員が、教えられた通り正確に、限られた(簡単な訓練でだれでもできるようになる非属人的)業務のみをすることで店舗全体の生産性を上げることが仕組まれていることや、それをサポートするように店に置かれたさまざまな装置のことを指しています。人がいちいち手で計ったり調理したりするより、機械にまかせるほうが確実ですから。

 

そして、この4つを特徴とする「マクドナルド化」は、単なるファストフード・チェーンのシステムを超えて世界中に普及し、ライフスタイルや社会的文化、それに伴う価値観を一変させてしまいました。これはリッツァがいうように、人間が自分自身をコントロールすることで営まれていた生活の「人間らしさ」を奪っています。

 

社会のマクドナルド化に対して警鐘をならす本ですが、私が気になったのは次の点です。つまり、マクドナルド化を止める術を模索するのではなく、マクドナルド化された社会の中で生きていくことがどのような意味をもつのかを問うべきではないのか、ということです。

20代の学生である私を含め、社会のほとんどの人間は「マクドナルド化」が普通である社会に生まれ育ち、良くも悪くもそれ以外の価値観を知らない環境で日常を送っています。そして、さまざまなゆがみやほころびが生じているとはいえ、私たちが生きているのはまぎれもない資本主義社会ですから、今後マクドナルド化がますます加速していくのはある意味必然です。

だとすれば、マクドナルド化が当たり前のものとなった社会、だれもかれもが合理化や効率化を訴え、「コスパがいい」ものに飛びつき、昔ながらのやりかたって古臭くてダサいよね……と言ってしまうような社会、経済的な成功イコール幸福であるかのような価値観が優勢になった社会で個々人がどう生きるべきかを考えたほうが良いと思うのです。

 

君たちはどう生きるか」という本が少し前に流行りましたが、まさにそういうこと。多くの人が自分の人生について真剣に考えていると思います。私もできるならば幸福な人生を送りたいと思っています。そのとき、価値や幸福、生き方の尺度や規範を個人の内面的な部分のみで計ったり形成するのではなく、今まさに私たちが生きている社会とのつながりの中で作り上げていくことを強く意識しなくてはならないな、と考えました。こうやって文にすると当たり前すぎるくらい当たり前のことなんですけどね。

 

この本をきっかけに社会学にも興味を持ちました。もっと資本主義について詳しく知るために、マルクスウェーバーの本を読んでみたいな。

 

 

マクドナルド化した社会 果てしなき合理化のゆくえ 21世紀新版

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