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【十八日目②】読書感想 福満しげゆき『就職難!! ゾンビ取りガール』

こんにちは。今回は漫画の感想です。

今回読んだのは福満しげゆき『就職難!! ゾンビ取りガール』です。

ネタバレはありません。

 

 

あらすじ。

いつかどこかの現代日本らしき場所が舞台。この世界では、ぽつりぽつりとゾンビが日常的に発生している模様です。思考能力を持たず、「アァ~」とか呻きながら人を襲うあのゾンビです。主人公の青年は「ゾンビバスターズ」というゾンビの回収・捕獲を専門とする小さな会社で働いています。彼が最近気になっているのは、新しくアルバイトで入ってきた女の子。黒髪の清楚で美人な女の子が後輩になり、心なしか気持ちも浮き立っています。しかし、ゾンビ取りはときに危険も伴うハードな仕事。できれば彼女にやめてほしくないなと思う青年と、ガンガンゾンビを捕獲したい!と内心で思っている意外とアグレッシブな後輩。今日も二人はゾンビ回収に励みます。

 

なんというか……。説明が難しい漫画です。でも掛値なく面白い!

ジャンルとしては「非日常系ラブコメ」になるのでしょうか。ゾンビが出てくるという点では確実に非日常なのですが、この世界のゾンビはあまり人を襲いません。ウォーとかアアアとか呻きながら、あたりをのそのそ徘徊しているだけです。一般人も特にゾンビを恐れたりせずスルーしています。ただ、なかには危険なものもいるし、やっぱり放置しているとまずい……ということでゾンビ駆除の仕事があるようです。野良犬を処理する保健所的な扱いなんですね。そういう意味で、いわゆるホラーのゾンビとは少し雰囲気が違います。もうこの時点で「アイアムアヒーロー」のようなゾンビものの漫画ではない。

 

もともと福満しげゆきは好きな漫画家の一人なのですが、得意とする作風と世界観が非常にマッチしており、独特の味を出しています。ちょっと暗い内向的青年、ムチムチのかわいい女の子、(元)ヤンキーぽい女の子、いかにも頭の悪そうな不良といったおなじみのタイプの登場人物はもちろん、妄想とも空想とも言えない(おそらく作者が日常的によく考えているのであろうことを盛り込んだ)一人語り的説明や、フラットな線だけどしっかりと細かいところまで描き込まれたコマ、緊迫したシーンもありつつペースを崩さない淡々とした描写や展開。とくに主人公がうんちくを披露するシーンなんかは、『うちの妻ってどうでしょう?』のようなエッセイ漫画のエッセンスをひじょーに感じます。これらがすべて合わさり、なんとも形容しがたい雰囲気を生み出しているのです。

以下、特によかったと思う点を挙げたいと思います。

 

アクションシーンがとてもわかりやすい!

これは本当に意外でした。この画風でしっかりとしたアクションが描写できるのかなあ(←失礼)とか考えていたんですが、青年や女の子がゾンビ相手に立ち回るシーンでは、キャラクターの動きが躍動感を持ちながらもわかりやすく描かれています。イヤ、ほんと『ハンターハンター』のバトルシーンみたい。

しかも動きがイチイチかっちょいい!女の子が初めてゾンビを捕獲する場面と、主人公が五人組の超強いゾンビに襲われながらも戦う場面は読んでいてちょっとドキドキしました。

 

ブコメが鼻につかない!

普段、あまりラブコメを読まないのですが、その理由の一つが「ノリが鼻につく」作品がたまーにあるからです。うまく説明できないのですが、展開が妙に強引だったり、キャラクターが惚れあうイベントがご都合的だったり、ギャグが寒かったり……みたいな感じ。ですが、この作品のラブコメっぷりはイヤミなくて面白いです。

なんというか、苦手なベタベタラブラブのノリでもないし、ギャグもちゃんとツボにはまったんですよね。いや、それは結局、主人公のキャラクターが自分とよく似た「モテないオタク系内向的青年」だからなのか……?

 

ヒロインがかわいい!

福満しげゆきの書く女の子のかわいさってなんなんでしょうね。萌絵ではないし、ほんと独特なんですよね。でも絶対むっちり体形という(笑)。モテないオタクの妄想する典型的ヒロインといってしまえばそうなんですが、ありがちな記号的キャラクターではなくて、言動がリアルと天然のあいだをウロウロしててかわいいんですよね。

 

しっかりした描き込みと設定

 決してリアルな絵ではないのですが、コマの隅々までしっかりと描き込まれていて読んでいて楽しい。そして手書きの擬音がいい。

あと、ゾンビ捕獲に関する主人公のテクニックがいちいち妙にリアルです。これ絶対作者がゾンビものの映画とかを見て妄想した内容だと思う。

 

のほほんとシリアスのバランスの取れた雰囲気

最初読み始めたときはギャグ漫画なのかな~と思っていたのですが、意外と展開にはシリアスな部分があります。特に、悪ガキ中学生がオヤジ狩りのように「ゾンビ狩り」と称してホームレスを暴行するシーンは、絵こそほのぼのしていますが結構えぐいです。血もいっぱいでるし。リアル系タッチで描いたら、『いぬやしき』の一幕みたいになりそう(余談ですが奥浩哉の描く一般人ってしばしばすごく悪意のあるキャラクターですよね)。でもシリアス一辺倒かと言えばそうでもなく、猫とゾンビが互いに鳴きあっているシーンもあったりして不思議な感じ。終始このペースを崩さず淡々と話が進んでいきます。

 

読み応えのあるあとがき

読み応えのあるあとがき。

 

 

 

惜しむらくは、二巻のあと続きが出ていないこと。もしや打ち切り!?モッタイナイと思います。新キャラも登場したし、この後の展開も気になる!

あとはほかの作品より(例えば『アイアムアヒーロー』とかより)実写化しても違和感がなさそうな感じがするので、そういう風になればいいなあ……と一抹の希望を抱いております。

 

2018/11/15追記:

実はこの『ゾンビ取りガール』によく似た設定のドラマが2014年に作られていたみたいですね。インスパイアなのかパクリなのかはよくわかりませんが、なにやらきな臭い問題があったみたいです。今度機会があったら見てみます。